まずは、今担当している仕事についてお聞きしました。
01
企画・交渉・MC・分析まで。行政イベント担当のリアル
現在はイベント事業部で、行政イベントを担当しています。
各自治体が抱えている、婚姻件数の減少や若年層の出会いの機会不足、少子高齢化といった地域課題に対して、その解決策として実施される婚活イベントを任せていただいています。公募(プロポーザル)への応募から始まって、企画提案、当日の運営、事後の報告まで、基本的には一貫して自分が担当しています。
自治体主催となると、通常の婚活パーティーとはまた違った難しさがあるんです。例えば『地域の観光資源を使ってほしい』とか、『婚活セミナーとセットにしてほしい』とか、それぞれ条件があるんですよね。
その条件に沿いながら、参加者の方にしっかり楽しんでいただき、かつマッチング率も出さなければいけないので、簡単ではないですね(笑)
これまでY. O.さんが手掛けてきたイベントは、パン作り体験婚活、クルーズ婚活、BBQ×謎解き婚活など、地域の特色を活かした魅力的なものばかりです。
こうしたアイデアは、私一人だと視野が狭くなってしまって思いつかないこともあるので、上司や同部署のメンバーと相談しながら練り上げています
当日の運営は、自らが現場に立つ場合と、業務委託スタッフに任せる場合があります。自分が立つ場合は、受付から司会進行、マッチング結果の集計まで一通りを担当します。
時間で言うと4時間程度なんですが、40名ほどの参加者の方にご満足いただけるように運営していくので、気を使いますね。司会進行というより、MCのような感覚で場を盛り上げることを意識しています。実は大学時代にアカペラサークルでステージに立っていたので、その経験が活きているのかなと感じています
イベント後には、自治体への詳細な報告書の作成も欠かせません。アンケート結果を集計・分析し、当日の運営で感じたことをデータと踏まえて文章化していきます。
アンケートの結果を集計するだけでなく、データを加工して分析したり、当日感じたことを言語化して文章にしたりと、なかなかボリュームがありますね
さらに、自治体との情報連携においては、独自のデジタルシステムも活用しています。
当社では独自開発したスマホパーティーシステムを使っています。従来の紙ベースの運営とは違い、参加者の方がスマートフォンで登録した情報をそのままシステムで一元管理できるようになっています。そのデータを自治体様に共有することで、次の施策を考える材料として活用していただいています。
こうして振り返ると、企画だけではなくて、交渉も、当日の運営も、データ分析もやっているので、思っていた以上に幅広い仕事をしているなと感じますね
02
断られても、諦めない。会場交渉の裏側
そんなY. O.さんの粘り強さが発揮された場面の一つが、ある会場を確保するための交渉でした。
参加者がチームを組んで競技を楽しみながら、自然と距離を縮めていく。そんな『運動会コン』を企画した時のことです。会場としては、広い体育館がどうしても必要でした。
そこで市の体育館を押さえようとしたのですが、年間スケジュールは前年度の2月にすでに確定しており、空きはありませんでした
そこで、Y. O.さんが取った行動はシンプルでした。メール、電話、そして直接訪問と、できることを一つずつ試していきました。
窓口のご担当者にかけあっても、最初はなかなか取り合っていただけなくて。それでも諦めきれず、現地に出向いて、施設長の方と直接お話しできる機会をつくることができました。そこで、『市が主催する婚活イベントなので、ぜひ使わせて頂けませんか』とお願いしたら、一枠空いている時間を譲っていただくことができました
この経験を振り返って、Y. O.さんはこう言います。
窓口で断られることも多い仕事です。でも、そこで終わらせないことが大事なんだと学びました。いろんな角度から動いてみること、諦めないこと。そういう粘り強さが、じわじわと結果につながっていく仕事なんだと感じています
03
受注できなかった案件が教えてくれたこと
一方、苦い経験もあるといいます。
自治体案件の受注について、最初は連続して受託が決まりました。そこで、少し調子に乗ってしまっていたかもしれません。その後、案件を立て続けに落としてしまいました。
振り返ってみると、その自治体が何を望んでいるのかをきちんと調べきれていなかったと思います。過去に行っていたイベントを調べたり、公募の文書をもっと丁寧に読み込んだりして、相手のニーズを汲み取ること——そこが正直、甘かったですね
しかし、この失敗が、Y. O.さんの仕事の向き合い方を大きく変えました。
情報収集の大切さを、痛いほど学びました。行政との仕事は特に、相手が何を求めているのかを理解してから提案を組み立てなければ、的外れな提案になってしまう。今はその部分を意識して始めるようにしています。自治体のこれまでのイベント事例や担当者の言葉の端々から、ニーズを読み取ることが、案件獲得にも企画の質にも直結すると実感しています
その経験をきっかけに、情報収集はY. O.さんにとって欠かせない仕事の一部になりました。
04
マッチング率50%近くを生む、場づくりの工夫
行政イベントでは、参加者同士が「お互いにいいと思った」と成立する割合、いわゆるマッチング率を40%に設定しています。Y. O.さんは今年度の担当案件でこの目標を上回り、参加者の約半数がマッチングする、50%近い数字を記録した回もありました。
その秘訣を聞くと、2つの工夫を教えてくれました。
まずは場の雰囲気づくりです。クイズ大会や謎解きなど、グループで一緒に楽しめるコンテンツを入れることで、参加者の方が自然と距離を縮めやすくなります。そして当日は、司会進行というより、MCに近い感覚で場全体を盛り上げています
もうひとつが、マッチング投票のハードルを下げる声かけです。
参加者の中には、『投票したら交際しなければいけない』と重く受け止めてしまう方もいて、気になる人がいてもためらってしまうことがあります。なので、『これはあくまで出会いのきっかけです。もう少し話してみたいと思った方にも、気軽に投票してみてください』とお伝えします。そうするだけで、実際に投票数がぐっと増えることがあるんです
さらに、Y. O.さんはイベント後のアンケートデータも丁寧に分析しています。例えば、年齢層や参加動機など、どのような組み合わせの方がマッチングしやすいのかといった傾向を整理し、次の企画設計に活かしていきます。
感覚だけに頼るのではなく、データもきちんと見ながら改善していくようにしています。現場で感じたことと数字の両方を照らし合わせることで、少しずつ成果につながっているのかなと思います
感覚とデータ、その両方を大切にしながら、次の一回をより良いものにしていく。そうした積み重ねが、マッチング率という結果につながっているのです。
05
なぜ、社会課題に向き合うのか
Y. O.さんが、幅広い業務を粘り強くこなす背景には、この仕事の根っこにある強い想いがあります。
行政イベントを担当する以前から、少子高齢化などの社会課題に関心を持っていました。この仕事を通じて、少子高齢化という課題に向き合えていることも、続けるモチベーションになっています。同じように社会課題を解決したいという気持ちを持っている方が来てくれたら、嬉しいですね
この想いが芽生えたのは、社会人1年目のコロナ禍でした。
その頃は、飲食業界で働いていました。ちょうどコロナ禍で、SNSでは、少子高齢化や待機児童問題についての投稿を目にする機会が増えました。『日本人が減っていく、子どもが生まれても預け先がないという状況を見て、何とかしたい』と思ったんです。そこで、まず保育事業に転職しました。その後、現在の部署に異動となり、社会課題と向き合いながら仕事をしています
Y. O.さんにとって、地域に出会いの場をつくることは、社会課題に向き合うための一つの方法なのです。
06
最初からできなくていい。やるしかないと腹をくくれば、道は開ける
今でこそ、多岐にわたる業務を一手に担うY. O.さんですが、当初から自信に満ち溢れていたわけではありませんでした。むしろ、その逆だったといいます。
今こうやってお話をしていると、自分でもよくやってきたなと思うんですが(笑)、もともと私自身『そんなことできるはずがない』と思っていた人間なんです。ですが、『意外と、やるしかないと腹をくくればできるものだ』と今は、思っています。最初からできなくても、上司や同部署のメンバーのサポートもあって、何とかやれてこられたので、やっていくうちに、少しずつできるようになっていくものだと思います
転機になったのは、仕事への向き合い方を変えたことでした。
自分にはできないかもしれないと感じた苦しい時期もありました。そんな時に、YouTubeで経営者の方が『仕事はゲーム感覚で楽しくやるもんだ』と言っているのを見て、自分もそうしてみようと思ったんです。小さなきっかけだったんですが、それから仕事をゲーム感覚で楽しめるように変わりました
最後に、これからどんな方と一緒に働きたいかを聞きました。
まず大事だと感じているのが、情報収集能力ですね。私が痛いほど味わった下準備の大切さは、案件を取りに行くことにも、ご希望に沿った企画を立てることにも、直結しますので。
次にコミュニケーション能力です。自治体のご担当者とのやり取りを丁寧に積み重ねていくうえでは、欠かせません。また、複数の自治体を担当すると、手が回らないと感じる瞬間もあります。そんな時に、上司やメンバーに助けを求めていくためにも必要ですね。
そして粘り強さ。会場交渉で何度か断られても諦めなかったように、この仕事には壁を乗り越え続ける粘り強さが大事だと実感しています。
ただ、最初からそれが全部そろっていなくても大丈夫です。私自身も、最初は『自分にできるはずがない』と思っていました。でも、腹をくくってやってみたら、なんとかなってきました。
だから、最初から自信がなくても大丈夫です。私もそうでしたし、周りに支えてもらいながらここまで来ました。何か大変なことがあったら私が先輩ですので、どんどん聞いて助けを求めてください。安心して飛び込んできてほしいですね